注意点

贈与税の時効

贈与税の時効は、贈与を行った時点から5年間または7年間になります。贈与税を税務署から請求されずに支払わなければ、贈与税の納税義務が消滅します。
時効が5年間の場合は、知らないうちに贈与していて申告を忘れていたり、申告や納付の必要はないと信じ切っていた人のケースです。
時効が7年間の場合は、贈与税の申告の必要がわかっていた悪質な人のケースになります。

生前贈与が認められない場合

生前贈与では、贈与者と受贈者の両者で贈与の合意があることが不可欠になります。
生前贈与が認められないケースとして、親や子供(受贈者)が、子どもや孫(受贈者)の知らないところで子どもや孫の名義の口座に贈与することがあります。特に子どもや孫が幼少の際の贈与は、「受贈した」という認識を持つことができないため、贈与の合意がなされないからです。そのため、その財産は被相続人のものと認定されることがあります。
しかし、”財産管理権”と”代表権”を行使することにより、贈与の契約が成立することができます。

基礎控除の対象外になってしまう(連年贈与)

連年贈与とは、毎年繰り返し贈与を行うことをいいます。
基礎控除を活用し、親が節税のために毎年100万円を20年にわたり子どもに贈与するケースのお話になりますが、毎年の受贈額が基礎控除額の110万円以下であれば、贈与税がかかりません。しかし、10年間にわたり毎年100万円ずつ贈与を受けることを親子の間で契約している場合は、1年ごとに受贈すると考えるのではなく、契約した年(連年贈与の初年度)に定期金に関する権利(20年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかるため申告が必要になります。
連年贈与は節税対策のための有効な方法ではありますが、税務署に定期金に関する権利の贈与と認められると、一時に多額の贈与税が課されることになるため注意が必要です。

生前贈与のやり方によっては親族間でもめることに…

生前贈与でトラブルとなるケースとして、特定の相続人のみに贈与が行われていたことが、死後、遺産分割の話し合いなどで発覚することがあります。
贈与は財産の一部を分けているので、贈与がなかった相続人は、もらえる遺産がその贈与分だけ少なくなります。贈与がなかった相続人は、すでに贈与済の遺産も加えて遺産分割をしたいと主張することも少なくないですが、大抵の場合はもう使い果たして手元にないことが多いのです。
このような場合は、法律上「特別受益」として扱われ、贈与分を遺産額に足し、相続分に応じて分割することを定めています。遺産分割時に、このような法律を覚えておけば相続人同士の話し合いもトラブルなく進めることができるのではないでしょうか。